舞踏馬鹿の独り言
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「夏の家族」
一匹の精子のリアリズム
勝手な思い込みが多いであろう事をお許し下さい、
そのストーリーや出来事を追うよりも
冒頭から岩名さんの体内の霧に包まれた心の襞に入り込む思いでした、
その霧の中に落下し浮遊し
ざらついた石壁にたどり着き
家の中を彷徨い
その奥深い部屋の中
硬直して横たわる
岩名さんの体、頬、唇に触れてみる、
本当だったんですね、
事の辻褄や良し悪しよりも
心象の在りかたをより正確に深く現しだそうとするその執念、
昨今そういう方がすっかり減ってしまい
淋しく思っていたので
大変嬉しく見させていただきました、
今回描き出そうとされた世界は
けして今回の作品の為に作られた物では無く、
生まれる前から体内に宿し静かに運び続けてきた物ではないのでしょうか、
それを縦一文字に腹掻っ捌き、
静かに体を開き
衆目の前に晒し続ける、
人がどう見たとしても
変えようもない真実だから
岩名さんならではですよね、
今回映画を見ている間に何故か土方先生の大好きな言葉を何度も思い出していました、
「一匹の精子がハラハラと師範学校の長い廊下を歩いているという思いに駆られることもありました、リズムから見放された一匹の精子がふらふらと。私はそういう少年時の私を思い出すと不覚ながら涙をこぼしたりする。人前では見せませんが。」
正朔
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