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正朔ー舞踏 SEISAKU-BUTOH DANCE

舞踏馬鹿の独り言

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2004年 廃人倶楽部3「黒い風」チラシ用文章

風化した体に罅が入り
捉えきれぬ肉塊が私から瓦解していく
黒く砂を孕んだ霧が風に巻かれ、
私の崩れた体を喰らっては渦を巻いて
彷徨していく。
先生は有るの逆は有らないだと言った。
じゃ、無いとは、
全てが無かったという事なのか、
磔になり、引き回され、翻弄されるこの体も
全て無かったのなら
懸命に生きる者が愛しい
苦しむ者や思いやりの心が愛しい
掛け替えの無い物が愛しい
そもそも無かったのか、全てが無かったのか
触れる事が、見つめる事が、抱きしめ愛おしく
思う事が、
罅に抉られ、
重力に瓦解し、
黒い風に巻き流され、
無を喰らい続ける無が舞泳ぐ
暗い海の果てへと
引き込まれてゆく。

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2003年 「桜の森の満開の下」チラシ用文章

私ははたして存在するのか

 満開の桜の森に一人座す事を考えた時、
真っ白な強い光の球体の中に一人座した時の事を思い出した、
壁までの距離が目の前なのか遥か遠くなのか、
浮いているのか沈んでいるのか、
それすらも分からない。
私は何処にいるのか、
散り落ちてくる花びらは時をも奪う。
人は闇の中のぬるま湯に長く体を浮かべていると
発狂するとも安らぎの中に没我するとも言われているらしい。
人は他人や物との関係性を理屈付ける事によって
自己を確認したつもりになりたがるが、
生死の地平の前ではその存在は陽炎の様なものだ。
この様な事は古より普遍的問題だが、
昔の人々はその中に身を置く術や意志を
今の人々よりは明らかに持っていたのではないのか。
現在、過剰な情報、生活の方法論で麻酔を打たれ、
不可解なる存在である己を顧みる事が避けられている。
この作品を通じて、
もう一度不可解なる存在に直面し、
皆様と共に
満開の桜の散り落ちる中に埋没し消えていけたのなら、
少なくともその刹那に
指一本触れる様に
その指先の触覚の先の末端の先端の末端の先端のその先の先端の末端の
一筋の願いが天界を針で刺す様に
触れる事ができたなら
幸せです。


2002年CUT IN廃人倶楽部2へのインタビュー

舞踏とは生きる事、と信じる。
 
問;晩年の土方巽に師事し、舞踏活動を続けられていたわけですが、この5年程の活動の休息をおいて4月に復帰公演をなさってみて如何でしたか?
 
答;舞踏界に一切顔を出さないでいたので、浦島太郎の様な気分です。諸先輩や同時期活動していた方々が活動され続けている姿を見て、身の縮む思いがし、このブランクに対する不安というのはとても大きなものでした。

問;活動を再開するきっかけというのは?

答;沈黙の時間の間に自分の中の舞踏性が消滅し、口先だけの人間に成っていくのではという恐怖を絶えず感じていました。舞踏と生きるという事が一つの事なのだと信じ、生活する事の中にこそ舞踏が潜み舞踏性を保ち続けられるはずだと思っていましたが、舞踏から逃げたのではという意識もしだいに大きくなっていました。そんな中、長く舞踏活動を共にした関由美子が2年も前に彼女の公演前日に死を迎えていた事を知り、追悼しなければと思ったんです。最近素晴らしい公演活動を続けていた親しい劇団が諸事情により突然活動を停止せざるをえなくなり、とても有能な女優が引退を表明しました。関も彼等も真摯に舞台に向き合い続けていたのに、真っ直ぐに生きられるという事はこの世に在り得ない事なんでしょうけれども、苦しいです。そういう中での自分の怠惰さというのが、とても恥ずかしくだらしない物だと感じられ、舞台にもう一度立たなければいけないと思いました。

問;あなたにとって舞踏とは?

答;生きる事です。
私が土方先生に始めて会った時、世の中で卑しめられている者達、醜いとされている者達、罪を犯してしまった者達、ありとあらゆるマイナスとされている者達、死んでいってしまった物質、細胞、思い、命は生きる権利が有るのだと、むしろ美しい、肯定されるべきものであると教えられた時、心よりもむしろ、全身が体が狂喜するのを感じました、がんじがらめの呪縛から解き放されるのを感じたんです。

問;これからどの様な舞踏活動を目指されますか?

答;生きている事に、存在に根差した舞踏を行いたいです。この世という曖昧な世界で、生きるという訳が分からない事をし、未知の物で器を満たし、表面張力だけで形があれればという為には、緻密な採集や形作られていく作業、通気の良い肉体が必要になると思われます。全くの未熟者ですが、精進していきますので、よろしくお願いいたします。

問;次回の7月の公演、廃人倶楽部2「遠き彼方、遥か彼方からの声」はどの様な作品ですか?

答;今は何も語れません。秘密です。秘密です。秘密です。楽しみにしていて下さい。

吸い間12最終回チラシ用文章

闇から湧きい出て
闇の彼方へと没していく、
何が現れた、
何も現れてなぞいやしない、
通り過ぎた空間の抉れ
過剰なる摩擦による
虚空だけが残されているだけだ、

何が現れた、
何も現れてなぞいやしない、
通り過ぎた
空間の抉れ、
虚空だけが残されているだけだ、

闇の中で鼓動のように繰り返される
虚と実のダンス
巨大な存在の眼球が
我々を既に腹の中に飲み込んでいる、
既知と未知とが微笑みあっては
手を取り合って水平線上に立ち上がり、
投身、
マイナスから落下、
更には無化、
0,0,0、
無限大の数を数える、



廃人倶楽部、
しばしの沈黙の為、
吸い間月一回一年公演
これにて終了させていただきます。

吸い間10チラシ用文章

霧がそっと鎧を纏う

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